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省人化・効率化とは?そのメリットやユースケース、具体的な実現方法などを詳しく解説

2025年1月20日

近年、深刻化する人手不足により、多くの企業が省人化・効率化に注目しています。省人化・効率化の実現は人手不足解消につながるだけでなく、企業の生産性向上や競争力強化にも貢献します。本記事では、省人化・効率化の基本的な概念からメリット、ユースケースや具体的な実現方法まで、詳しく解説します。

省人化・効率化とは

省人化・効率化とは

日本では少子高齢化に伴う労働人口の減少により、多くの業界で深刻な人手不足に直面しています。独立行政法人労働政策研究・研修機構の調査によると、2024年12月時点での人手不足指数は、大企業でマイナス30ポイント、中堅企業でマイナス39ポイント、中小企業ではマイナス43ポイントに達する見込みです。この指数の負の値が大きいほど人手不足が深刻であることを示しており、日本の多くの企業において、人手不足がより深刻な状況に陥っていることが分かります。

このような人手不足解消のために、多くの企業で省人化・効率化実現に向けた取り組みが進んでいます。
ではそもそも省人化・効率化とは、それぞれどういう意味があるのか、その違いもあわせて解説します。

省人化とは

省人化とは、人手による作業をAIやロボットなどのテクノロジーで代替し、必要な人員を減らすことを意味します。しかし、これは単純な人員削減が目的ではありません。むしろ、従業員をより創造的で付加価値の高い業務に配置したり、人手不足が深刻な部門に異動させたりすることで、全体の生産性向上を目指すものです。
一方、よく混同される言葉として、「省力化」がありますが、これはさまざまな方法で作業における労力を削減することを指します。デジタルツールやノーコード開発、業務自動化ツールなどの活用はもちろん、作業工程の見直しや機械化、環境改善なども含まれます。省力化は、従業員の身体的・精神的負担を減らしながら、少ない労力で最大限の効果を生み出すことを目的としています。

効率化とは

効率化とは、同じ投入量でより多くの成果を得る、あるいは同じ成果をより少ない投入量で達成することを意味します。具体的には、業務プロセスの最適化、ムダの削減、作業時間の短縮などが含まれます。
効率化は、人的資源だけでなく、時間やコスト、材料、エネルギーなど、あらゆる経営資源の有効活用を目指すものです。この効率化を実現するために多くの企業は省人化や省力化に取り組んでいます。

省人化・効率化のメリット

省人化・効率化のメリット

省人化・効率化のメリットは以下の通りです。

生産性の向上

人手作業を機械化することで生産性が大きく向上します。機械は人間より継続して作業ができ、一定の品質とスピードで作業を継続できるため、生産量の増加と品質の安定化を実現します。また、業務の効率化により、最小限の労力で最大の効果を生み出すことが可能になるため、大きく生産性の向上につながります。
さらに、省人化で発生した余剰分の人材を、より付加価値の高い業務への再配置やマンパワーが必要な部署への異動など、企業全体の労力配分が最適化され、新たな価値創造につながることで組織全体の生産性向上が期待できます。

戦略的な人材活用

深刻化する人手不足は、多くの企業が直面する重要な経営課題です。省人化・効率化は、この課題に対する効果的な解決策となります。特に、データ入力や在庫管理といった定型的な作業を自動化することで、貴重な人材をより戦略的な業務に振り分けられます。このように人材不足による業務の停滞を防ぎながら、企業の競争力強化を図れるのです。

省人化・効率化のユースケース

設備保全部門における省人化・効率化のユースケースを紹介します。

  • 効率的な保全業務の実現
    建物内の空調設備や電気設備などにIoTセンサーを取り付けることで、稼働状況や振動などのデータをリアルタイムで監視できます。また、このデータをAIが分析することで設備の異常を事前に察知し、最適なタイミングでメンテナンスを行えるため、突発的な故障を防げます。
  • 労働環境の改善

    従来の設備保全作業では、高所での点検作業や重量物の搬送作業など、作業者の身体的負担が大きく危険を伴う作業が一般的でした。しかし、ドローンによる高所点検の自動化や協働ロボットの導入による重量物搬送の支援、IoTセンサーを活用した遠隔監視システムの実現により、作業者の労働災害リスクや作業者の身体的負担を大幅に軽減できます。これにより安全で持続可能な職場環境の構築につながるのです。

このようにIoTやAI、ロボットなどを活用することで、効率的な保全業務の実現や労働環境の改善に貢献します。

省人化・効率化を実現するには

省人化・効率化を実現するには

では、実際にどのように省人化・効率化すると良いのでしょうか。

業務の見直しを行う

省人化・効率化する第一歩は、現状の業務プロセスを詳細に分析することから始まります。日々の業務プロセスを可視化し、各作業の必要性や優先順位を見直すことで、重複した作業や付加価値の低い業務を洗い出せます。特に、作業の遅延が発生しやすい箇所や工数がかかっている工程を特定し、そのボトルネックを解消することが重要です。また、定型的な作業であればAIやロボットなどに代替することも検討してみましょう。
このような分析を通じて効率的な業務フローを設計することで、どの工程を自動化し、どの作業を統合・廃止すべきかといった具体的な改善策を導き出すことができます。その後、これらの改善策を実行に移すことで、省人化・効率化が実現するのです。

AIやIoTを活用する

AIやIoTを活用することで、これまで人手に頼っていた業務の省人化・効率化を図れます。
例えばIoTセンサーによる設備の常時監視や、データ分析や報告書作成などの定型業務をAIが代行することで、現場スタッフの作業負担を大幅に軽減できます。さらに、収集したデータをAIで分析することで、最適な保全計画の立案や、より効率的な業務プロセスの構築が可能になり、省人化・効率化だけでなく業務品質の向上も同時に実現します。

ITツールを導入する

省人化・効率化を実現する効果的な方法として、ITツールの活用が挙げられます。
業務管理を紙ベースで行っている企業では、書類の作成や保管、検索に時間がかかり、非効率な状況に陥ってしまう可能性があります。このような課題を解決するために、紙ベースで行っていた業務を電子化し、情報を一元管理することで、省人化につながります。
例えば、「統合ワークプレイス管理システム」の導入により、設備の保守記録や点検履歴、図面データなど、さまざまな資産情報を一元管理することが可能になり、業務の大幅な効率化につながります。

省人化・効率化実現におすすめの「Archibus」とは

Archibusは、建物や設備の管理・運営業務を効率化する統合ワークプレイス管理システムです。
主な特徴としては以下の通りです。

  • 建物データベースの作りやすさ
    土地・建物の設備情報はもちろん、保全業務やコンディション調査などの業務活動、関連コストなどの資産情報を包括的に管理できます。さらに、CAD・BIMの図面データや、お客様の既存システムともスムーズに連携することが可能です。統合的な管理により、業務の大幅な効率化を実現します。
  • さまざまな情報との連携
    上述したCAD・BIMに加え、IoTセンサーやエネルギー管理システム、基幹システムなど、さまざまなデータソースと連携可能なため、建物に関する実績データを一元的に把握できる強力な管理基盤として活用できます。また、蓄積されたデータを活用することで、市場環境の変化に柔軟に対応できるファシリティマネジメントの実現と、より戦略的な経営判断をサポートします。
  • カバーできるFM(ファシリティマネジメント)業務の広さ
    1つの建物データベースに対して、豊富な業務アプリケーションが整備されているため、FMに関わるあらゆる業務に対応できます。網羅的にFMデータを蓄積でき、常に最新の情報を維持します。
  • エリア監視の実現
    遠隔ビル中央制御にArchibusを合わせて導入することで、複数建物の一括監視を行う「エリア監視」を実現します。従来であれば各建物に監視員を配置する必要がありましたが、設備の稼働状況を集約して情報を一元化することで全体を把握できるようになります。不具合の早期発見や即時対応が可能になるだけでなく、監視業務の人員を最小限に抑えるため、効率的な保全体制を構築できます。

このように Archibusは統合的な建物管理を行えるため、企業の省人化・効率化に貢献します。特に膨大な資産を保有する企業や、複雑な資産管理を必要とする組織にとって、Archibusは効果的なツールとなるでしょう。

省人化・効率化を進めるうえでの注意点

省人化・効率化を進める際は、以下の点に注意が必要です。

システム導入には相応のコストがかかる

システム導入による省人化・効率化は大きな効果が期待できますが、導入時の初期費用に加え、保守・運用費用など継続的なコストが発生することを理解しておきましょう。特に大型な基幹システム導入の場合、導入費用が高額になる傾向にあるため、投資対効果を十分に検討することが重要です。
また、従業員向けの研修費用や、既存システムからのデータ移行費用なども見据えた予算計画が欠かせません。長期的な視点で投資回収計画を立て、段階的な導入を検討するなど、慎重な判断が求められます。
これらのコストを適切に管理するために、システムのライフサイクル全体(導入から運用、更新、そして将来の刷新まで)を見据えた長期的な予算管理を行うことも重要です。

ライフサイクルコストについては以下をご覧ください。

省人化・効率化を実現し、企業の価値を高めよう

省人化・効率化は、現代のビジネス環境において避けては通れない重要な課題です。適切な計画と実行により、企業の生産性向上と競争力強化を実現します。特に、AIやIoT、ITツールなど先端技術を活用することで、より効果的な省人化・効率化が可能です。
BIPROGYは省人化・効率化を支援する、統合ワークプレイス管理システム「Archibus」を提供しています。Archibusは土地や建物、設備や人・業務活動・コスト等さまざまな資産情報を統合的に管理し、さらにCAD・BIMなどの図面データや既存システムからのデータも取り込み、資産情報と連携することが可能です。これにより横断的な情報管理ができ、あらゆる業務の大幅な効率化に寄与するでしょう。ぜひ、この機会に導入を検討されてみてはいかがでしょうか。

  • *記載の会社名および商品名は、各社の商標または登録商標です。